「諦めないから」


そう言って真っ直ぐ見つめた先で、佳祐は"バーカ"と笑う。

彼女がいる現実を知った今、隣にいる佳祐が少し遠く感じた。


「そろそろ帰るか」


立ち上がり、あくびをする彼を見上げる。


「また…会える?」


その問い掛けに、佳祐はハっと笑い答えた。


「電話してこいよ」

「私、毎日かけるよ?」

「お前、本当にかけてきそうだし」


目尻を下げて笑う佳祐に、私の胸は高鳴った。


「ねぇ」

「あ?」

「佳祐の女にして」


佳祐は、意外にも驚いた顔を見せる。


「本気だよ」


私の言葉を聞いた佳祐は、"おもしれぇ女"とタバコに火をつけた。