「ちょっと待って」


携帯を耳に当てたまま立ち上がり、私は外に出た。


「ごめんね」

『…どうした?』

「え…?」


電話をかけてきたのは、シュンくんの方だったから。

思いもよらない言葉に、私の口からは情けない声が漏れる。


『何か、テンション低いからさ』


そう言われ顔を上げると、窓ガラスに映る私は、今にも泣き出しそうだった。


まだ何かあったわけでもないのに、無性に寂しくて。


受話器越しに居るシュンくんが、遠く感じて仕方なかったんだ。


「シュンくん…逢いたい」


私の言葉に彼は"すぐに行く"と言って、電話を切った。

立ちすくむ私に気付いたチカが、お店の中から駆け寄ってくる。