彼は、申し訳なさそうにそう言った。


「シュンは相手にしてないっぽいけど、あの子毎日俺らの教室まで来ててさ」

「そう…なんだ」

「クリスマスの時、チカが怒鳴ってたのもあって、気にはしてたんだけど…」


ミっくんの言葉に、"ありがとう"と小さく返事をする。


「チカには、この話しないで」

「でも…」

「お願い。心配かけたくないの」

「…わかった」


私は浮かない顔をして、オレンジジュースに手を伸ばす。

チカがトイレから戻り、何気ない会話をしていた時。

鞄の中で光るシュンくんからの不在着信に気付き、私はすぐにかけ直した。


『はい』


受話器越しに聞こえる声に、安堵感を覚える。