「絵里奈」


終業式の日。

呼び止められたその声に振り返ると、久しぶりに見るマリの姿。


「マリ、久しぶり」


避けてたわけではなかったけれど、二年になってクラスが離れてから、あまり会う機会がなかった。


「元気してた?」


何て事ない会話だけれど、やっぱり一年の頃とは、少し違う。

離れていた時間は、恋人に限らず、埋めるのは難しいのかもしれない。


「シュンくんと、付き合ってるんだってね」


"コータに聞いたよ"と、笑うマリ。

自分の口から言えなかった後ろめたさから、私はただ小さく頷いた。


「また、みんなで遊びたいね」

「うん、そうだね」


佳祐に逢うのは、まだ苦しいけれど。