チカに手を振り、一度家に帰る。


お気に入りの服を選び、いつもより気合いを入れてメイクして。

会うまでの時間さえ、今は嬉しいけれど、シュンくんとの待ち合わせが、今日はやけに緊張してならない。


待ち合わせた時間よりも早く着いてしまった私は、携帯片手に時間を潰す。

週末なだけあって、今日は街中が人で溢れていた。


「何してんすか?」


そんな声に軽くイラつきながら振り返ると、そこには久しぶりに会う、ニヤけた男の姿が。


「それ、ナンパしてんの?」


私の言葉を、コイツは慌てて否定する。


「絵里奈さんナンパしたら、先輩達に殺されちゃいますよ」


苦笑いのアツシに、私はハっと笑った。