何度も振り返りたい気持ちを閉じ込め、前だけを見つめ歩いた。

ひたすら、歩き続けたんだ。


私には今、逢いたい人が居るし、佳祐には、帰りを待ってる人が居る。

振り返って手を取り合う勇気など、私達にはないのだから。


ありがとうと、何度も何度も心で思った。



佳祐、本当に好きだったよ。


いつも逢いたくて。

声が聞きたくて。

傍に居たくて。


好きだとか、愛してるだとか。

そんな風に、言葉に出来る感情じゃなかったんだ。


佳祐だから、こんなに好きで居られたんだよ。

結局私は、佳祐が今日までについてきた色んな嘘に、守られていたのだろう。

だって、二人で居る間は、いつも幸せだったから。