「マリが紹介して欲しいって」

「さっき本人に言われた」

「私、誰にでも好きって言うわけじゃないよ?」

「うん、ごめんな」


佳祐はそう言い、私の頭を軽く撫でた。


「どっか行くか」

「…え?」

「どうせ、お前の友達はコータ達と遊びに行ったし、お前も暇だろ?」


私の返事を聞くまでもなく、佳祐は今来た道を引き返した。

さっきまでいたカラオケの前に着くと、私にヘルメットを渡す。


「マリ、一人で大丈夫かな?」

「大丈夫だよ。いきなり襲ったりしねぇって」

「…電話してみる」


心配だったから、ポケットから携帯を取り出し、着歴に残るマリの番号に発信する。