海に映る夕日は本当にキレイで、何もかも忘れてしまいそうになる。


少し佇みながら、沈んでいきそうな夕日を眺めていると、懐かしい声が耳に入った。


「絵里?」


久しぶりに聞いたせいか、せっかくの決心が一瞬で揺れる。

息を飲み振り返ると、そこには愛しい人の姿が見えた。


「久しぶり」


その言葉に返事をする事も出来ず、堪えきれない想いが込み上げる。


「バーカ。んな顔すんなっつーの」


そう言って、眉を寄せる佳祐の優しい手に頭を撫でられ、私の頬には大粒の涙が零れた。


「バカじゃないもん…っ」


精一杯の反撃に、彼はハっと笑う。


「バカは…俺か」


と、佳祐は俯くように顔を覆った。