何をあんなにムキになって、逃げ出すように走ってしまったんだろう。


久しぶりの自己嫌悪だ。


目を閉じると溢れる、佳祐の笑った顔。

まだ3回しか会った事ないのに、こんなに鮮明に思い出せる。



"さっそくコータに乗り換えたの?"



あんな言い方、されたくなかったんだ。

でも…突然好きだと言われて、それを信じてくれなんて。

そんな無理な話って、ないかもね。


次にもし会った時、私どんな顔して佳祐に会えばいいんだろう。


そんな事を思いながら、頬に落ちる涙を拭った。

その時、背中越しに名前を呼ばれた。


「絵里っ!」


右腕をグっと引き寄せられ、振り返る。