振り向くと、そこには若干引き気味の佳祐が立っていた。


「ねぇ。さっきの人、何て言うの?」

「あ?」

「さっきこんばんわって言った人、名前何て言うの?」

「何、お前。さっそくコータに乗り換えたの?」

「…は?」


佳祐の思わぬ言葉に、私の顔つきが変わる。


「あの、佳祐くん。違うの、私が…」

「マリ、ごめん。私帰るわ」

「あ?ちょっと待てよ、どうし…」

「絵里奈っ!」


佳祐とマリの言葉を振り切り、私は夜の街を走った。


何だろう、何がこんなに悔しいんだろう。


別に"違うよ、マリが紹介してほしいんだって…"って軽く言えば良かったのに。