少し話した後、私達が向かった先は隣町の神社。

年初めなだけあって、見渡す限り人だらけ。


「すごい人だね」


思わず唖然とする私の横で、シュンくんも"ありえねぇ"と笑う。


この中に、佳祐とユキ先輩も居るのだろうか。


そんな事が頭をよぎり、何となく寂しくなった。

私の右手には、まだ佳祐の指輪が光る。


「聞いてる?」


その声に、意識を戻された。


「あ、ごめん。何?」

「帰り、おみくじ引こうよ」


そう言って、神社の奥を指差すシュンくん。


「いいね。じゃあ今日の昼ご飯、運が良かった方のおごりね」


私は考えたくない事を笑顔の裏に隠し、聞かれたくない事は言葉の裏に隠した。