「イタ電してくんなよ」

「やだ、毎日かける」

「毎日って…お前、それイタ電じゃなくてストーカーだから」

「違うもん」


佳祐は、笑いながら携帯をポケットにしまう。


「じゃあ、俺そろそろ戻るわ」

「うん、じゃあね」


私は、そう言って佳祐に背を向けた。

携帯の画面に表示される佳祐の番号を見ていると、自分でも顔がニヤけてるのがわかる。


「絵里」

「え?」


佳祐に呼び止められ、私は振り返る。


「お前からかけていいの、1日3回までな」


そう言って笑うと今度は佳祐が私に背を向け、薄暗い照明の部屋に消えて行った。