行き先も分からないまま俊吾の車に乗った。



「ごめんな。」

「全然。」




連れて来られたのは、結婚式場だった。

なに食わぬ顔で俊吾は車を降りた。

「降りろ。」

まだ何をするのか分からない。

「何するの?」

「いいから、来い。」

8㎝ヒールのブーツが雪に捕られ俊吾のスピードについて行くのが辛い。

こんなんなら、ブーツ履いて来るんじゃなかった…。

「もう少しゆっくり行ってよ。」

「ったく。何でヒールなんか履いて来たんだよ。」

「明日のためにだよ。」

せっかくのデートなんだもの、お洒落くらいしたいじゃん。

「ほら。」

「ん!!」

無理やり絡められた左手。
温かい…。