「ったく。こいつマジムカつく。」
奏太クンは後味が悪そうに俊吾に抱えられながらリビングに戻ってきた。

「ちゃなつ~」
奏太クンが俊吾から降りて、こっちに駆けてくる。
「うん?」

「んとね、僕のママになって!!」
マ、ママ!?
「パパに聞いて。」
いきなりすぎだよ。
「俺に振るなよ!!母さんはどうなんだよ。」
俊吾だって振ってるじゃん

「沙夏チャンなら奏太の事任せられそうだから、いいんじゃないの?後は2人で決めなさい。」
そうなるよね…
「沙夏、ちょっと一緒に来て。」
「うん?」

連れてこられたのは、子どもの頃何度か入ったことのある俊吾の部屋だった。今は、奏太クンの部屋化になっているみたいだけど…

「…汚ねぇなぁ。まぁいいか。座れる所座れ。」
座れる所って言われても…床はおもちゃで埋め尽くされてるから、ベッドでいいや。

「俺は…沙夏の全てが知りたい。だから、俺と結婚して欲しい。」
「うれしい。けど…今すぐには返事ができないから、少し時間が欲しい。」
「分かった。いきなりごめんな。戻るか。」
たったこれだけの会話。
私はすぐに返事できるんだけど、こればかりは親の承認が必要だから…