事が済んで 彼は帰ってしまうどころか 約束通り温かい飲み物を用意してくれた もっとも ホテルに備え付けの 安いドリップコーヒーだけど 熱い液体を口の中に流し込むと ふいに泣きそうになる 「また、会える?」 切に願いすぎて それが幻聴でないと認識するのに 少し時間がかかる 顔を上げると 眉を下げて悲しげに微笑む彼と 視線が絡んだ 小さく心臓が跳ねる 「僕は、また会いたい」 あたしは頷くことで それに応えた それをより強く望んでいたのは あたしの方だった