「ハルちゃんのこと
これ以上悪く言ったら俺が許さない!
覚えとけ!!」
この奇妙なイベントの首謀者に
ひどく傷付けられたあたしの親友を
アイツは声を張り上げて守った
その姿は
やっぱりかっこよくて
悔しがる余地などなかった
「辛いね、お互い」
事の成り行きを見守ることしかできずに
立ちつくしていたあたしの横で
そう言ったのは
ハルちゃんの彼氏だ
自分の彼女をあんな風に守る男を
唇を噛んで見つめていた
でも
「“お互い”って…?」
あたしの問いかけに谷君は
泣きそうな顔でそっと笑っただけ
もしかすると
あたしの気持ちに気付いたのかもしれない
彼のことを
鈍感でズレていると言っていた彼女の目は
たぶん節穴だ


