いつの間にか陽が落ちていて

薄暗い教室の中

わたしはかすれる声で

相沢くんに問いかけた



「どっか…痛くしなかった?

腕…とか…」



すると相沢くんは

少し安心したように



「鍛えてるからね」



小さく笑った



「よかった…」



わたしは心底安心して



それは

相沢くんに何もなかったことと

潤が

誰かの大事なものを奪っていなかったことへの

安堵だった



相沢くんの大切な腕

全校生徒の期待がかかる腕



そんなものを

潤が奪ってしまったとしたら

きっと潤は

すごく後悔するから



よかった