わたしの足は
ぴたり
止まって
視界はぼやけて
皮肉にも今
わたしはサツキちゃんに
嫉妬しているんだと気付く
裏切られたこと以上に
それを悲しんでいる
どうしてわたしは
サツキちゃんじゃないの?
どうしてもっと早く
出会えなかったの?
もっと早く会えたら
谷君がサツキちゃんと知り合うよりずっと早く
出会って
恋をしていたら
谷君を独り占めできたのに
―――そんなの
無理なのに
そんなこと言い出したら
きりがないのに
「なんで…っ」
どうして
出会ってしまったの…
わたしは
両手で顔を覆って
声にならない悲鳴を
あげた