「そんなんが2年くらい続いて、ケンカにも慣れてきて

街ん中では負けることがなくなった頃かな…

ボコッたうちの1人が学校にチクって

学校も俺の敵になった。

学校に反抗する方法っていったら

頭悪い俺が考えたのは

髪染めるとかサボるとか、そんな程度だったかな」



谷君は小さく笑った



「それで…茶髪…」



わたしがつぶやくように言うと

谷君は罰が悪そうな顔をしてうなづいた



正直なところ

わたしは話についていけていなかった



わたしにとって

それはあまりにも衝撃的で

想像もつかない世界だった



お母さんが亡くなって

お父さんが恋人を作って…

きっと

裏切られたような気持ちだったんだね



信頼していた家族に裏切られて

さらには暴力までふるわれて

お父さんに捨てられたとまで思ったかもしれない



その悲しみに

谷君は力をつけることで

打ち勝とうとしたのかな



淋しさを

ケンカで紛らわせていたのかもしれない



たった1人で



谷君は闘っていたんだ



いろんなものと