朝目が覚めて最初に思ったことは、ここはどこだっけ、という疑問。記憶を遡ってひとりで納得して、次に思ったことは、体がとても重いということ。
 物理的な重さじゃない。全身を覆う倦怠感と熱っぽさが、体を起こすことを拒んでいる。
 薄く開けた目でぼんやりと天井を眺めていると、この部屋の主が視界の中に飛び込んできた。長い黒髪は再び高い位置で結わえられている。
「あんた、学校は? そろそろ出ないとまずいんじゃない?」
 言われて時計に目をやると、時刻は7時30分。急いで準備してもギリギリかもしれない。
 けれども、火照った体はどうにも動いてくれる気配がない。起きなきゃとは思うものの、脳から全身に回るはずの指令は確実に途中で諦めてしまっている。
「体だるい……」
 なんとか吐き出した声が、思った以上に弱々しくてびっくりした。シオリも少しばかり驚いた様子でこちらを見る。
 シオリの長い指が伸びてきてあたしの額に重なる。ひんやりとした手の感触が気持ち良かった。