「僕が犯人だというのかい?」

江川は穏やかな口調で言った。

「犯行に使われたジュースは、事件当日に食堂の自販機から出てきたものではありませんでした」

つまりあらかじめ用意されていたもの。

「事件直前の状況から考えると、他の3人の先輩方はあの場でジュースをすり替えなくてはいけません。しかし僕が知る限り、それは不可能です。では誰か?江川先輩しかいないんです」

「君はいろいろ知ってるようだね。でもなぜ僕が毒を?」

「江川先輩は、馬場先輩と確執があったそうですね?」

「確執なんて大袈裟なものじゃないよ。ただ単に反りが合わないだけさ」

「でもそのおかげで最初はずいぶん悩みました。なにせ馬場先輩が飲んだジュースは江川先輩が渡したものではなかったですから」

「ああ、由美からいろいろ聞いたんだね」

「はい」

「他には何を?」