拍手に照れ笑いを浮かべる麗美に、達郎は服をはたきながら歩み寄った。

「別に御礼なんていいけどね」

麗美は茫然と立ちつくしている由美に視線をやった。

「あなた大丈夫?ケガはない?」

髪をかき上げながら麗美は言う。

「素敵…」

そうつぶやいた由美の瞳は潤んでいた。

「素敵っ!」

そう言って由美が飛びついたのは、達郎ではなく麗美の方だった。

「な、なに!?」

いきなり抱きつかれ、うろたえる麗美。

由美は瞳を潤ませたまま言った。

「素敵です、お姉さま!!」

「お姉さまァ!?」

当然の如く、麗美は目を丸くした。

「はい、お姉さま!あたし、貴女に一目惚れしてしまいました!」

由美のテンションはおさまる気配がない。逆に上がっていく一方だ。

周囲にろくな男がいないと、女性は同性に対して憧憬の念を抱くものなのかと、達郎は冷静に分析してみた。