月と太陽の事件簿10/争いの樹の下で

「レミ!?」

女性を見た達郎は驚きの声をあげた。

それは従姉の日野麗美だったからだ。

「どうしてここに?」

「こっちの台詞よ」

麗美は腕組みをした。

「バイトしてたらケンカだっていうから、見てみたら身内がいるじゃない。思わず飛び出してきちゃったわよ」

確かに、かけているエプロンはクレープ屋の隣の、ホットドック屋のものだった。

「いちおう確認しとくけど、因縁つけてきたのはこっちの3人組よね?」

「殴った後で確認するなよ、レミ…」

「な、なんなんだテメェら!?」

赤色は戸惑いに近い叫び声をあげた。

緊迫感がまるでない達郎と麗美の呑気なやり取りに、毒気を抜かれたようだった。

それでも赤色は、最後に残った闘志を奮い立たせて麗美に殴りかかった。

しかしその拳を振り上げる前に麗美の体が半回転し、次の瞬間、右後ろ回し蹴りが赤色の腹に突き刺さった。

赤色は微かなうめき声と共に、その場へ膝から崩れ落ちた。