月と太陽の事件簿10/争いの樹の下で

やがて由美が吹き出し、達郎もそれにつられて笑った。

「よぉ。ずいぶん見せつけてくれるじゃねーか、おめーら」

そんな2人に野太い声がかかった。

顔を向けたそこには口元に下卑た笑いを浮かべた男たちが3人。

年齢は達郎や由美と同じぐらいに見えたが、面構えの凶悪さは倍以上。

知性より野性といった言葉が似合いそうな輩だった。

「おい、ずいぶんイイ女連れてるじゃねぇか」

灰色のニットキャップをかぶっていた、3人組のリーダーらしき男が由美に目をやる。

由美はその視線を避けるようにして、達郎の背後に隠れた。

「甘っちょろい顔してるくせに、気に入らねーな?」

灰色はずい、と前に出て、達郎の胸ぐらをつかもうと手をのばしてきた。

達郎はその手をつかむと素早く体を入れ替え灰色の背後に回り、腕を一気にひねりあげた。

「がっ!」

激痛に灰色の顔が歪む。

「何しやがる!」

赤いニットキャップの男が怒声をあげながら前に出た。