月と太陽の事件簿10/争いの樹の下で

やはり今回の事件は、あくまでも4人の中で起きた何かが引き金になったのだろうか。

達郎はそんなことを考えながら、幾つかあるチャットルームをのぞいた。

HPのチャットルームは、とても人気がある。

今夜も盛況だった。

勉強のこと部活のこと、好きなテレビやマンガや音楽の話題。

秘話機能を使っている面々は、恋愛話に花を咲かせているのだろう。

しばらく眺めていると、ひとつ気になるチャットルームを見つけた。

入室者は『1人』となっている。

ハンドルネームは
【BOW】。

【BOW】は誰かと待ち合わせているらしく、他者が来ると丁重に入室を断っていた。

その行動に達郎は興味を覚えた。

何となく話かけてみようと思った。

達郎はハンドルネームを【luna】に設定してチャットルームに入室した。

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luna:こんばんは

BOW:あ、やっと来た
BOW:待ってたのよ♪
BOW:ねぇ2人きりで
BOW:話さない?