文書で了解をとるような内容ではない。

プライベートで、家族としてでなければ、できない相談だ。

「で、父さんはなんて言ってたの?」

「やらせてみろってさ」

秀昭の口調はどこか楽しげだった。

「オレより上手くやるかもしれないって言ってたな」

「なにを根拠に」

達郎はあきれ返った様子で言った。

無理もない。

父も兄も、15歳の少年に捜査の手伝いをさせようとしているのだから。

「まぁそう言うなよ。父さんには人を見る目があるんだ。きっとお前の才能を見抜いて言ったんだと思うぞ」

『人を見る目ね…』

心の奥底で釈然としないつぶやきをもらした達郎に、秀昭はこう言葉を続けた。

「なんせオレらの母さんを見初めた人なんだからな」