「ジュースの補充をする際は、教務課の職員が立ち会うことになってるそうだ」

職員はその日も立ち会っているが、管理会社の社員に不審な動きはなかったと証言している。

「つまり容疑者は男子生徒たちってこと?」

「そう。4人のうちの誰かだ」

「3人だろ?」

「事件当時の状況がわからない以上、自演の可能性がないわけじゃない」

「なら本人たちに訊けばいいじゃないか」

「ところがな…」

秀昭は顔を曇らせた。

警察の聴取に対し、男子生徒たちは口をそろえて

「わからない」

「忘れたい」

を繰り返し、詳細はまったく分からなかった。

また学校や父兄側も捜査に対しては協力的ではなかった。

学校は経営に関わるような不祥事は避けたいし、父兄は我が子が可愛い。

その結果、事件がうやむやになってほしいという流れになっているのであった。

こんな状態で捜査の進展が見込めるわけがない。

「そこでお前の出番だ」

秀昭は達郎を指した。