◆ (あ゙ー、意味わかんねぇ) 昇降口。 靴箱に体を預けて、ズルズル 腰を下げて座り込む。 人気ない昇降口に、一人。 前髪をくしゃっと握る。 (さっきの、なんだったの) 憂花の声がフラッシュバックする。 「いーのいーの!泰介なら 彼女とでも帰るでしょ!」 ………。 俺、『彼女いる』なんて アイツに言った覚えないし。 そもそもいないし。 「………」 薄暗くなってきた校庭を一瞥して、俺は重い腰を上げた。