「お前さ」


溜め息混じりの声が突如聞こえて脚が浮いたまま止まった。

視線を戻せば呆れた顔の有坂がいる。


「十八でヤニ切れ起こすって、どんだけだよ」


何を言われるか不安に考える間もなく、その声が俺を窘(たしな)めた。

同時にその柔らかい瞳が憎たらしかった。



バカだ、俺は。

何を憎く思う必要があるんだ。



「吸いたきゃ吸ってこい。適当に言い訳しとくから」

それだけ言うと、有坂は前に向き直ってひらひらと手だけを振った。


さっさと行けと言うように。