「そんなにヤりたいなら」

彼女の黒い瞳が、真っ直ぐ射ぬいてくる。

「俺のこと好きって素直に言えよ」

だけどその瞳は笑わない。

恥じない、躊躇わない、迷わない。


「いや」

その唇は惑わない。

「それじゃ意味がなくなる。つまらなくなる」


空気の熱が上がらない。

寒々しい部室にあるのは、激しい感情。



「ずっと、その瞳が欲しかった」

白い手が俺の頬に触れる。

「もっと憎んで?」


理解できない、きっと俺には。

だけどなんとなくわかる。


理解したときにはきっと遅いのだと。


そしてもうこの時点で、遅いのだと。