愛憎コノテーション[短篇]

さっさと諦めた俺は、一年の春、有坂が何気なくいつも目で追っていた少女の姿を思い出した。


あの頃初めてあいつの存在を認識した俺には、良さはわからなかった。

大人びててまるでこちらがとてつもなく子どものように振舞っていて。

憧れる気持ちもわからないではないが、それは恋ではないだろうと内心思っていた。



尤もそんな風に考えていた俺は、中学の時から時折会っていた女と会うのをやめたばかりだった。

五つ年上の女は、好きだの愛してるだの、面倒なこと抜きで男女が付き合えることをよくわかっていた。


そして俺がそういうのを望んでいることも。