座っていた俺の膝を跨がせ、その細く軽い身体を手に入れてしまってからは。

何かを考える余裕なんてないぐらい、彼女しか見ていなかった。


セーラー服の中に熱を与え、甘ったるい吐息を吐きださせ。

その瞳に俺以外映らないようにと、彼女しか見ていなかった。



煙草の灰は落ち、最後の紫煙が空(くう)に溶ける頃。


壁に手をついた彼女の身体にただただ欲望を打ちつけてゆく。


少しだけ顔をこちらに向け、眉を寄せた彼女の額にうっすら浮かぶ汗を眺めては。

「愛してる」だの「もっと」だの余計なことを口にしないことに、快感を覚えていた。


寒々しい部室の中、少しだけ温度が上がり。

濡れた声が微かに響く。


その中赤く染まる彼女の頬を、遠くで見ている自分がどこかにいることを必死に隠しながら。


俺は床に落としていた煙草の吸殻を踏みしめた。