愛憎コノテーション[短篇]

「あっ……それ、もっと……っ」


耳を塞げる機能が、人間にあれば良いのに。


昼寝でもしようと思っていた気持ちは綺麗さっぱり消え失せて、俺はその扉に背を向けた。

雨漏りしてようが、寒かろうがなんでもいい。


無性に煙草が吸いたかった。


なんでもかんでも欲情出来るほど、素直じゃなくなった俺の身体。

それが今は馬鹿みたいに笑えてくる。



もうすぐチャイムが鳴るのだろう、人気が余計に少なくなった廊下を突き抜け。

俺は濡れながら部室へと向かった。