整った顔立ちで、それなりに女たちから人気のあった斎藤先輩。

そういや去年の春辺り、こいつと一緒にいるのを何度か見た気がする。


ならばきっと斎藤先輩が教えたんだろう、あの人はあんまり知られちゃいないが、案外女にはだらしがなかった。

サボりにここに来ようと思って、しょっちゅう中から女と一緒の声が聞こえていた。



それを思い出して、自分も大差ないだろと思わず笑いが零れた。



くすんだ空気が、ゆらゆらと揺れている。


昨日、隣の女とセックスしたというのに。

今日、同じ場所で二人きりでも、興奮することもない。


やはりあれは一時的な劣情だったかと思いながら小さくなった煙草を吸った。


どこか壁の向こうを見るかのような、彼女を視界の端に収めながら。