確かにコクヤの態度もアレだが、周囲の反応が…いや、そこまでさせるほど、コクヤは危険ということだってあり得る。

だけど少なくとも今のオレは、彼を怖いと思う気持ちはなかった。

複雑な思いを抱えたまま教室に戻る。

一人で戻ってきたオレに、サラが駆け寄ってきた。

「サマナ! 無事だったのね? 良かったぁ」

サラは心底安心したように、息を吐いた。

「コクヤと一緒に行ってしまったから、ずっと心配してたの。…ゴメン、声もかけられなくて…」

「別に良いよ。あっ、コクヤはもう寮に戻ったから」

クラスメイト全員に言うと、ほっと安堵する空気が伝わってきた。

「サマナ、何にもされなかった?」

タカオミが苦笑を浮かべながらこっちに来た。

「ん~。まあちょっと脅された感じはあったけど、別に何かはされていない」

「でもこれからは分からないよ。あんまり刺激しないようにね」

「はいはい」

コレは自分達にも被害が及ぶことを心配しての忠告だな。