「…ああ」

差し出されたカツサンドを、オレは一口食べた。

「あっ、本当に美味い」

今までいろんなカツサンドを食べてきたけれど、群を抜くほどに美味かった。

「でしょ? 俺もコレが食べたくて、授業には出ないけど、昼には購買に行くんだよね」

「それってダメじゃん?」

「そんなことないよ。―見ただろう? 俺を見た周囲の反応」

…確かに。サラもタカオミも、コクヤはいない方が平和だと言っていたな。

「サマナはまだ分からないんだよね、俺の怖さ」

「…そっかな?」

オレはスッと眼を細めた。

意外な返答に興味を持ったのか、コクヤはじっとオレを見つめてきた。

「自分で自分のこと、『怖い』とか言うやつほど、大したこと無いっていうのがあるけど?」

「…へぇ。サマナは怖いモノ知らず?」

コクヤは眼を丸くし、口元に歪んだ笑みを浮かばせる。

「いや、逆。怖いモノには敏感な方だと思う。実際、お前のことは頭が拒否反応しているし」