振り返ったシュリは、オレの落ち込んだ様子を見て二度目のため息を吐いた。

「そんな顔するな。何も全員が全員、覚醒するワケじゃない。ただ危険性が一般人よりも高いというだけだ」

その一般人とは普通の人間のことじゃない。

犯罪遺伝子を持ちながらも、普通に生きている者のことだ。

「オレは…どのぐらい、危険なんでしょうかね?」

「自暴自棄になるな。基準値など知らないが、少なくとも今のお前は大丈夫だろう?」

シュリはオレの元まで来ると、励ますように頭を撫でてくれた。

ムメイのように―。

「それに遺伝子を持っている連中が全員危険人物になるなんてことはない。中には普通に生きることを望み、そして生きている者だっているんだ。じゃなきゃ、街なんて成り立たない」

それは確かにそうだ。

でもオレは、もう一つのこの街の意味に気付いていた。

けれど口に出すことは、とても恐ろしい。

だから笑みを作って見せた。