街の異常さは頭が拒絶している。

けれど体の方は受け入れていた。

そのことが、オレはここにいるべきなのだと思わせているのかもしれない。

「親父に何かいじられたか?」

この街に馴染むように、どこか体を変えられてしまったのかもしれない。

実際、オレの父方の血縁者は実験が好きなようだし?

「サラにムメイ先生、それにイザヨイさんにタカオミも何かしらの犯罪遺伝子を持っているんだよな」

パっと見は本当に普通の人間にしか見えない。

けれど彼らから感じる雰囲気は、只者ではないように感じられる。

それは血や死の気配などではなく、狂気という感情かもしれない。

「だけどそれを感じ取るんだから、オレもやっぱり同類ってことなんだろうな」

皮肉な笑みが浮かぶ。

この街のことは、まだまだ知らないことばかりだ。

でもできれば早く馴染みたいと思う気持ちはあった。