ようこそ! 魔破街へ

ちなみに顔も覚えていないし、名前もさっき聞いた。

「アイツ、騒ぎが大好きなんだよ。元々火薬を使って壊すのが好きな一族だからね。うるさいったらありゃしない」

「…つまり、花火が関係の証ってこと?」

「そうじゃないの? ったく…。寝てたのに…」

確かにコクヤの目元はどこか虚ろだ。

「あっ、ここの髪乱れている」

「ん~」

少しはねている部分を手ぐしで直すと、ネコのように擦り寄られた。

…ネコっぽいな。

しかし次の瞬間、学校の屋上にどこからかスポットライトが当たり、一人の少年の姿を浮かばせた。

派手な色使いとデザインの洋服に身を包んだ、小柄な少年だ。

「彼がエンラ?」

「だよ」

「コクヤよりも小さい?」

「うん。それでうるさいから、みんなからはチビザルって呼ばれてる」

「…何か納得しちゃうな」

「サマナもそう呼んだら?」

「いや、それはもう少し仲良くなってからにする」

「サマナ! 魔破街へようこそ! これから仲良くしような!」