「ではムメイさんと親父の関係は?」

ムメイは眼を細め、ため息を吐いた。

「同級生だ。アイツは小学生からここへ連れて来られたからな。俺も中学からは寮に住んでいたし、まあ腐れ縁だな」

「じゃあシュリやイザヨイとも?」

「ああ」

それで納得した。

男嫌いのはずのシュリが、オレにはどことなく優しかった理由が。

昔の同級生の息子が来たならば、少しは優しくできるだろう。

「…親父は母には魔破街のことは何一つ、知らせなかったんでしょうか?」

オレは俯き、呟いた。

それはずっと疑問に思っていたこと。

「多分…知らせなかっただろう。俺は何度か外に出ることがあって、その時に彼女に会ったが…とてもじゃないが、魔破街の存在に耐えられはしない人だろう?」

「…ですね」

眼を閉じ、深く息を吐いた。

子供のオレから見ても、母は純粋で幼い女性だった。

魔破街の真実どころか、自分の先祖のことさえ聞けなかっただろう。