イザヨイは申し訳なさそうな顔をした。

「あー、だからクラスメイト達も逃げ遅れたんですね」

「クラスにもギリギリ到着しただろう。まあキミの顔を見たいコもいただろうから、逃げるに逃げられなかったというのもあるだろうね」

顎に手を当て、イザヨイは遠い眼をした。

「コクヤには何もされなかったか?」

「大丈夫ですよ、ムメイさん。少し話はしましたが、午後から彼は帰りましたし」

「そっか…なら良かった」

ムメイは心底安心したように、深く息を吐いた。

しかし苦しそうに眉を寄せ、絞り出すような声を出した。

「…こう言うのもアレだが、あんまりコクヤには関わらない方が良い」

「それはさんざん周囲の人から言われました」

「そうか。まあ向こうが近付いてきても、上手く避けるようにな。関わらない方が、お前の心の為だ」

そう言うムメイは真剣そのもの。

オレが来る前に、犠牲になった人々のことを知っているからだろう。