ようこそ! 魔破街へ

ムツキはクッキーに蓋をした。

「コレ、サラが帰ってきたら渡しておくわね」

「ああ、よろしくムツキ。それじゃあそろそろオレは寮に戻る」

「うん、また明日ね。サマナくん」

「また明日、ミツキ」

二人に手を振り、オレは女子寮を出た。

「はー…。何か微妙に食欲失せたかも」

クッキーは絶品だった。

しかしカミヤが毒を操る犯罪者の血縁者だったとは、な。

タカオミは物凄く納得できる。

彼の血縁者なら、老若男女美形だろう。

美貌を活かして、人や政治・経済を裏から操ることなんて造作もないだろうな。

「おっ、サマナ。お帰り」

「お帰り、サマナ」

男子寮のロビーで、ムメイとイザヨイが声をかけてきた。

「ただいま。二人とも、どうしたんですか?」

「俺はお前を待っていたんだよ。どうだった? 転校初日は」

「えっと、まあこんなもんかな?と」

「コクヤに早速眼を付けられたんだって? ギリギリに寮を出て行ったから、忠告することも出来なかったんだ。ゴメンね?」