そう思いながら、オレもクッキーを一口。

バタークッキーは口の中に入れるとすぐに溶けてしまう。

けれどバターの良い匂いと、歯触りが何とも言えない!

「んっ、カミヤのお菓子って本当に美味い。タカオミはいつも食べているのかな?」

「まああの二人はそういう関係だしね」

「ぶっ!」

ムツキがあっさりと言った言葉に、思わずふき出した。

「昨日、サマナが悲鳴上げながら走って行ったのも、そのせいでしょう?」

「…サラに聞いた? ムツキ」

「と言うより、寮生の間ではすっかり噂になっているわよ。あんな反応したの、あなただけだもの」

…それはつまり、今までの発見者は…とまで考えて、思考を中断。

そんなカオスな想像、したくもなかった。

「まあ幽霊でも見ちゃったと思って、忘れた方が良いわよぉ」

上機嫌に両手でクッキーを持ちながら、ミツキが言った。

幽霊…確かにそのぐらい、タチは悪かった。