「ムツキの淹れてくれるお茶は美味しいのよ!」

「そうなんだ。頂きます」

オレは温かい紅茶を一口飲んで、びっくりした。

紅茶の良い匂いが体に満ち、ほんのり甘い味が口の中に残った。

「ホントに美味しい」

「ありがとう。バイト先が紅茶喫茶店だから、慣れているのよ」

「バイト? この街では金銭的な束縛がないのに、バイトしているんだ」

オレの問いに二人は顔を見合わせ、苦笑した。

「まあ確かに金銭的な束縛はないんだけどね」

「それでも社会性は身に付けておくにこしたことはないわ。今もバイト帰りだったし」

「そうなんだ。じゃあミツキも同じバイトを?」

「うん! でもアタシは接客中心。何かを作るのは苦手なの」

そう言ってクッキーに手を伸ばし、一口頬張る。

「ん~、やっぱりカミヤのお菓子って最高!」

花が開いたような明るく可憐な笑みを浮かべる。

この二人がいる喫茶店になら、行ってみたいな。