三つ編みの女の子はオレを見ながら、意味深げに微笑む。

「あのコ、基本的にはタカオミ中心に生きているから。手作りのお菓子をタカオミ以外の人間にあげるなんて、はじめて見たわ」

「あ~、そう、なんだ」

思わず遠い眼をしてしまう。

…彼が手作りのお菓子を作ってくれたのは、タカオミの命令だっただろう。

そしてその理由を思い出し、再び全身に鳥肌が立ってしまう。

「いいなぁ~。カミヤの手作りクッキー」

相変わらず天然パーマのコは、熱い眼差しを向けてくる。

「…キミ達はそれでも食べたことあるんだ」

「うん! オミくんがお裾分けしてくれたの!」

タカオミの名前を略し、ニコニコと満面の笑みを浮かべる。

これは流石に無視はできないな。

「…良かったら、どう?」

「えっ? 良いの? やったー!」

「悪いわね。じゃあロビーに行きましょう。お礼に紅茶を淹れるわ」

「あはは…」

オレは苦笑いを浮かべながら、女子寮に入った。