まだ梅雨入りをしているわけではないが、珍しく雨が降っていた。

傘をさしたまま、私は緊張した面持ちでドアの前に佇んでいた。



いつも私が学校の帰りに降りる駅より、2つ先にある大きな駅。

その駅前の大通りより、1つずれた道沿いにあるこのカフェ。

外観は白い壁とガラス張りで、開放感あふれている。




「ほら瞳、大丈夫だってば!入るよ?」

隣にいる未央が笑いながらドアを開け、私の手を引いて中に入った。