父は兄の手を振りほどき、さっきより力を入れて兄の左頬を殴った。




 バキッ



鈍い音が響いた。


「キャッ。」

私は思わず手で顔を隠した。

「お父さん!!」

母は叫びながら、慌てて部屋に入っていった。


兄はよけることも出来ただろうに、逃げなかった。

父を睨みつけながら、ゆっくりと口を開く。