いつもなら、ここでからかったり笑顔を向けてくれてたのに。

なぜか真顔な良平に、余計にドキッとくる。


「さっき店で聞きそびれたことがあってさ・・・。彼氏はいないって聞いたけど、瞳は今、好きな奴とかいるの?」

「え・・・、あの・・・。」


良平の前髪が、風で少し乱れる。

その髪を直す手に視線を移しながら、私は返事に困ってしまった。

だって・・・

好きなの人は今、目の前にいる良平くんなんだもん。

でも『好きです』なんて、私が言えるわけがない。



 ハァ・・・