その人は、5種目で1位をとっていた。


「中松海翔?誰だろうね。」


聞いたコトも、見たこともない人。


「彼氏がこんなんだったらいいよね。運動神経抜群!」


紗樹がはしゃぐ。


でもあたしは、そんなのれなかった。


「海翔って人さ、ごっつそうじゃない?」


「うんうん!」


名前でごついと思って、


海翔って人の人物像まで浮かんでしまった。


あのときに廊下で見かけたあの人かなと思った人もいた。


さらに、紗樹とも意見一致で、


「ごつい人」と決め付けて、笑っていた。










今日は日直!!!


・・・・・・というコトを忘れていて大幅に遅刻。


しかも、隣の席の人が欠席で、


1人で職員室に向かった。


「失礼しマース。」


室内で辺りをきょろきょろしていると、


担任の先生から見られていた。


「やば・・・・・。」


あたしは小さくつぶやいて、


早歩きで先生のほうに向かった。


「すみません!遅刻です!」


先生が怒った顔になった。


あたしはビクッとした。


「お前、遅刻多いんだよ。っつーわけで、コレ運びなさい。後、再日直忘れずに!」


そういって先生は、あたしに大量のノートを渡してきた。


「おもっ!」


クラス分のノート30冊。


重すぎる。


「あたし1人ですよ!!??」


「はい文句いわなーい。」


仕方なくあたしはノートをもって職員室を出た。


ノートで前が見えなくて、


転ぶのも嫌だから、


チャイムを気にせずゆっくり歩いた。


・・・・・・・・・・・キーンコーンカーンコーン・・・・・・・・・・


着席のチャイムが鳴り、


周りがいきなりうるさくなったと思ったら、


静かになった。


でも、あたしは急がなかった。


コレを理由に、ゆっくり行けばいいと思った。


・・・・・・・・・・・トントントントントン・・・・・・・・・・・・


後ろから足音が聞こえた。