―中松海翔君へ―


はじめまして。同じ学年の宮坂葵と申します。


見たことあるかは分かりませんが・・・。


あなたが、好きです。


話したコトないですよね?


でも、あなたを遠くから見てでも、


好きになっちゃいました。


きっと会話なんかしたら、


気絶しちゃうと思います〔笑〕


「なにこいつ?」って思っていますか?


そう思われても仕方ないですよね・・・。


すみません。すみません。


好きになってすみません。


でも、諦められません。


なので、諦めません。


これからもスキです。


―宮坂葵―


便箋1枚におさまる短い手紙。


コレがあたしの精一杯。















~♪♪♪


携帯がブルブル震えて鳴り出した。


家のベッドでマンガを読んでいるとき。


「もしもし?」


普通に出てみた。


「あ。葵?」


この声は・・・


「南!?え?なんで?」


南からだった。南は最近携帯を買ったらしいが、


ケー番は聞いていなかった。


「いや・・・あの。まあ、よろしく。」


「うん・・・。」


あれから2人で話したことあったかな?


緊張してる葵。


「そろそろテストじゃん?葵は勉強どんな感じ?」


・・・・不意に気づく。


南に「宮坂」じゃなくて「葵」って呼ばれてる。


それは素直に嬉しくて、


ドキドキしてしまう。


「えーっと。数学の方程式やばいかも。」


自然と話に入り込めてきた。


「えー?俺もなんだけど。結構きついけどワーク提出近いしやれよー?」


「・・まあ、できたらね。」


話が合う。


この居心地が最高なんだ。


「じゃあ、また明日。」


「うん。バイバーイ!」


・・・短い時間だったけど、すごくドキドキした。


あのラブレターも想いも、


今はなかった。